Playback

  • 2013.08.10 Saturday
  • 23:30
レイモンド・チャンドラーの最高傑作の位置付けにある「長いお別れ」の影に隠れているのが「プレイバック」ですが、私はこの作品が結構好きです。これまでの舞台のロスから離れた架空の街が舞台として選ばれており、脇役の老人が神について長々と語ってみたり、信頼できる警官が登場したり、唐突なエンディングが用意されていたり、と謎が多い作品です。フィリップ・マーロウというキャラクターもチャンドラーとともに年老いたと実感させるのがこの作品の魅力かもしれません。

先日、アマゾンが無料でキンドル向けにこの小説を配布していたので久しぶり(10年以上ぶり)に再読してみました。チャンドラーのセリフ(独特のアメリカ語による文章)は魅力的で好きなものがたくさんあります。

「私は酒が必要だった。多額の生命保険が必要だった。休暇が必要だった。田舎の別荘が必要だった。しかし、私にあるものは、上衣と帽子とピストルだけだった。私はその三つをからだにつけて、部屋を出た」(「さらば愛しき女よ」より抜粋)

"The Super Chief was on time, as it almost always is, and the subject was as easy to spot as a kangaroo in a dinner jacket." (from "Playback")

「タキシードを着たカンガルーのように簡単に見つけることができた」という文章、素敵です。こうゆう文章が好きだから、チャンドラーが好きなんだと思います。

チャンドラーといえばマーロウが主人公のハードボイルド探偵小説を思い浮かべますが、短編でハードボイルド色が薄れたものもなかなか味があってオススメです。

 

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